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乳幼児虐待を防ぐために ―道徳教育の充実を―


乳幼児虐待が報道されるたびに、なんと無惨な事を!と思うのは私だけではないでしょう。京大霊長類研究所の杉山幸丸教授は、ハヌマンラングールというオナガザルがハレムのボスの交代に際し、新ボスが旧ボスの子ザルたちを次々に噛み殺す事態を観察した。母ザルはその子ザルを護ろうとはしない。そして、間もなく新ボスの子を儲ける。

人間社会では離婚などで母子家庭となった後、新たなパートナーが連れ子を虐待し、時に死亡させてしまう。サルと同様、母は見て見ぬふりをすることも稀ではない。また、連れ子はしばしば弟や妹に比して冷遇される。

ヒトは誰でも我知らず残酷な行為をしてしまう可能性がある。ましてや義父に脅えて泣き叫び続ける先夫の子に対してはあり得ることである。ヒトはサルが進化した優しい心を持った、倫理的で法を遵守できる存在だという幻想を捨てるべきで、瞬時に残酷無比な者に変身してしまう存在ではないだろうか。このことを小中学校での道徳教育で周知させることで、踏みとどまらせる事はできないものだろうか。